絵付け
日本人が自覚する以上に、世界中で愛されている我が国の陶器や陶磁器ですが、ひと目で多くの人々を魅了するポイントの一つは、絵付けによる芸術的な図柄の数々です。ただでさえ美しいフォルムや質感で存在感を放つ日本の陶器や陶磁器に、繊細な筆致で色とりどりに表現された日本の伝統的な図案の数々は、近世ヨーロッパの人々を刺激し、世界的な陶器ブランド発展のきっかけにもなっています。
色絵装飾の美を最も印象的に表現している上絵付けは、釉をかけて高温で焼いた磁器の上に酸化金属化合物による上絵釉でさまざまな紋様を描いて、再び低温で焼いて発色させる技法によって、素晴らしい色彩効果や優美な絵柄を表現して行きます。ことに海外の陶器愛好家の間で人気が高い九谷焼や有田焼などで、広くその技法が用いられています。
上絵には、それぞれ五彩、粉彩、赤絵、色絵といった様式があり、それらの技法によって絵付けされた豊かで自由な彩色のハーモニーは、時代を超えて国内外の人々を魅了し続けています。