陶器の手入れ
日本の陶器というと特に茶の湯の世界では一楽二萩三唐津と昔からいわれ有名ですし、また、桃山時代にその後の陶器の一大産地としての地保を固めた美濃地方の焼物や、滋賀の信楽焼、福井の越前焼なども古くからのもので、これら陶器は粘土を材料として作られて柔らかい器肌をもつため水分も吸収し易い特徴があります。陶器は使い始める時は必ず湯通しをしてからにします。
釉薬がかかっているものも無釉のものもどちらも必要です。2~3度熱い湯にくぐらせることで、水洗いでは落ちなかった焼成時の匂い等すっきり除けますし、なにより柔らかい器肌に表れている貫入を美しく保つことができるからです。貫入とは焼物の窯出しの時にすでに温度変化により器の表面にできた細かいひびのことで、手入れを上手に日々使い続けているうちに陶器独特の表情を見せてくれるようになるものです。湯通しをした後は完全に乾燥させます。また、器を使う前には一度水にくぐらせてから使います。
いきなり乾いた器に汁気のあるもの等盛り付けると沁みになります。特に無釉の備前焼等は水を十分含ませてから使用します。使い終わったら汚れをきれいに洗ってから湯どおしをします。特に上絵付けのあるものは焼成温度も低いので最初はあまり熱くない体温より少し熱め位にし徐々に湯を熱くしていってから引き上げます。すぐに乾いた布でキュキュット拭いて乾燥させてから仕舞います。